ハンドボールをするのにあたって、重要なのがコートです。
ハンドボールでは、世界的な共通認識の下でコートが作られています。日本でも練習を行うときから正しいコートの大きさで練習することで、ルールの遵守や正しいプレイを身に付けることができます。
ハンドボールコートの概要について
ハンドボールコートの大きさについて
ハンドボールコートは、一辺が40mと20mの長方形で構成されています。ただし、小学生用のコートについては長辺が36mになっています。
長辺の部分は、サイドラインと呼び中央部分にセンターラインと交わる点が来ます。センターラインとサイドライン、そしてゴールラインとの間で結ばれた一辺が20mの正方形になるエリアをプレーイングエリアと呼びます。
短い辺のうち、コーナーの部分からゴールポストまでのラインをゴールライン、ゴールの両外側をアウターゴールラインと呼びます。
コートを作成する際には、直線部分は白線を用いて、ゴールラインについては8cmの幅、それ以外の各ラインは5cmの幅です。
体育館で実施する場合には、ハンドボールで利用する以外のラインが事前にひかれているケースがあります。こうした際には、同じ方向で同色系で引かれているラインに関しては、テープなどを利用して消すと安心してプレイをすることができますし、審判も判断しやすくなります。
また、コートを作る際には、安全面への配慮から安全地帯を設ける必要があります。一般的にはサイドラインから1m程度外側に、ゴールラインの後方は2m程度の安全地帯を設け、このエリアにはオフィシャルのテーブルや選手の控えベンチなどが入らないように設置します。
観客席を設ける際には、ボールの飛び込みを考え、さらに1m程度後方に設置し、できれば防球ネットなどを使用し、ボールが入らないように考えることも大切です。
ゴールの設置について
ハンドボールコートを作るのに欠かすことができないのが、ゴールです。しかし、ゴールにも適切な位置があり、ルールを守って設置をしなければ、ゲームをすることもできませんし、プレイヤーが安全にプレイをすることもできません。
ゴールは、両アウターゴールラインの中央に設置をします。ゴールの大きさは内法で、高さが2m、幅が3mになります。
シュートがゴールに当たった衝撃でずれないように、地面にしっかりと固定する必要があります。外に設置する際は、ペグなどを利用して地面に固定し、体育館に設置する場合には、ゴールポストの後ろ部分に重りを置いて衝撃に強い状態を作ります。
ゴールポストとクロスバーは、一辺が8cmの正方形であり、コートから見えるゴールポストとクロスバーの三面に関しては、対照的な2色で帯状に色分けをして塗ります。(赤と白の組み合わせが多いです。)
またプレイへの配慮として、シューター側から見てゴールと背景が一致しないような色分けをします。ゴールに入ったボールが、ゴール内にとどまるようにゴールにネットを張る必要もあります。
ゴールエリアの設置について
ハンドボールらしいラインのひとつに、ゴールエリアラインがあります。ハンドボールでシュートを打つときにはこのエリアよりも外側、またはエリア内に着地する前にボールを離す必要があります。
また、ゴールエリア内では、ゴールキーパーは身体のどこを使ってもボールを触ることが可能です。
ゴールエリアラインは、別名6mラインとも呼ばれており、その名前の通り、ゴールから6mのところに線が引かれますが、線は2つの線を結んで完成します。
- ゴールの両ポストからサイドラインと平行に6mをとり、点をつけます。両ポストからつけられた点を結ぶようにゴールラインと平行に3mの直線を引きます。
- 両ポストから半径6mで四分円弧を描き、ゴールラインと平行に引いた直線と交わらせる。
1,2の作業によってゴールエリアラインが完成します。
勘違いしている人も多いのですが、ゴールエリアラインは完全な半円になっているのではなく、四分円弧と3mの直線の組み合わせによってできているので、線を引くときには注意しましょう。
フリースローラインについて
ハンドボールでは、反則があったときにゲームを開始するラインとして、フリースローラインがあります。
フリースローラインは、ゴールエリアラインからさらに外側3mのところに破線で引かれます。
この線も半円ではなく、ゴールエリアラインが直線になっている3mの部分は、ゴールエリアラインと同じように平行に直線で引きます。
そして、ゴールポストから9mのところより、四部円弧を描くように半円を描きますが、コートの大きさの都合上、フリースローラインは、アウターゴールラインと結ばれることはなく、サイドライン側と結ばれることになります。
また、破線の長さにも制約があり、白線と空白の部分が15cm間隔となるようにしなければいけません。
ゲーム運営上で必要なラインについて
ここまで紹介したラインや線の長さは、練習中にあると十分なラインです。
実際に試合となると、ここからさらにラインを追加する必要があります。的確な長さのラインを引かないとゲーム中に大きなトラブルになる可能性があるので、注意点をしっかりと守りましょう。
7mライン
ゲーム中に決定的なシュートチャンスを妨害された、または、重大な反則があったときに獲得することができる7mスローを打つことができるラインです。
7mラインは、ゴールエリアラインと平行で、1m離れたところにラインを引きます。長さは1mで、ゴールの正面に来るようにラインを作るのがポイントです。
ゴールキーパーライン
ゴールキーパーに対して目印となるゴールキーパーラインは、ゴールから4m離れたところに引きます。
ゴールラインから4mはかりとり、ゴールエリアラインと平行にラインを作るのがポイントです。長さは15cmになります。
交代ライン
ハンドボールでは、選手交代を自由にすることが認められていますが、どのエリアから出てもよいというわけではなく、交代ラインというのが設けられており、このラインとセンターラインの間でコート内に出はいりしなければいけません。
ルールを守らなかった場合には、退場という重い罰則が科されます。
交代ラインは、センターラインから4m50cm離れたところにセンターラインと平行に30cmの長さで引きます。サイドラインに対しては15cmずつ、コートの内側と外側に出ているように引くのがポイントです。
交代ラインはオフィシャル席から必ず確認できるようにする必要があり、オフィシャルの人は、選手交代が正しくできているのかどうかを確認します。
コーチングゾーンの設定
平成28年度のルール変更に伴い、ハンドボールの交代ベンチにおけるコーチングゾーンの規定が一部変更されました。
コーチングゾーンの始点はセンターラインから3.5m離れたところをスタートとして、ベンチの終端から1m以内にコーチングゾーンの終端を設定します。
交代用ベンチの設置場所に規定はありませんが、サイドラインから50cm以上(1m程度が望ましいです)離したところに設置します。
プレイヤーの安全面を考慮して、交代ベンチの前面には物を置かないように選手に指示をするようにしましょう。また松脂(松ヤニ)など、プレイに必要な道具については、大会によって設置場所を指定しましょう。
オフィシャル席の設置
試合を円滑に行うために欠かすことができない人に、オフィシャルがあります。試合の際には、審判を補助するためにもオフィシャル席を設置しなければいけません。
オフィシャル席は最低でも3名分が必要で、真ん中にタイムキーパー、その両サイドに、それぞれのチームの管理をするオフィシャルが付きます。反則などをカウントすることができるようにハンドボール用のオフィシャル用紙を用意しておきましょう。
オフィシャル席はセンターラインを挟んで席を設置し、センターラインの延長線上にタイムキーパーが来るように配置します。
オフィシャル用の机は通常のベンチラインよりも少し前の、サイドラインから50cm程度離れたところに設置するのが一般的です。
ハンドボールコート作成時の注意点
ハンドボールコートを作成する段階で、いくつかの注意点があります。
注意事項を守ってコートを作らないと、けがをする危険性やトラブルになる可能性があります。会場選びの段階から、コートを作るときの注意点を意識して見ていくことが大切です。
安全地帯を確保する
ハンドボールに限らず多くのスポーツに言えることですが、コートの外側に安全地帯を設けることが大切です。
長辺40m、短辺20mというコートはあるものの、ボールがサイドラインを超えてしまいそうなときに選手が外に飛び出る可能性もありますし、ジャンプシュートをした後に勢いでアウターゴールラインを超えることもあります。
安全地帯がなければ、急停止が求められ、衝突等によってけがをする恐れもありますし、外に飛び出ることを恐れると全力のプレイをすることができません。
安全地帯はサイドライン、アウターゴールラインから最低でも1m、できれば5m以上の間隔をあけるのが望ましいです。体育館で実施する場合には壁のような硬いものではなく、ネットまたはクッション材のようなものが付いているのが望ましいです。
応援席を設けるときは、ボールの飛込みを考えて5m程度は間隔を空けるようにして設置しましょう。
ボールの転がりを防止する
ハンドボールは本来、専用の体育館で行うのが望ましいですが、日本ではほとんどなく、通常の体育館を利用して行うことが多いです。こうなると問題になるのが「ボールの転がり」です。
ゲーム中にゴール後ろやサイドラインの外はボールが出やすくなり、このエリアにボールが出ている時間もゲーム時間としてカウントされます。(よほど、遠くにボールが飛んで行った場合にはゲームを止めます。)
コートの外側には、安全地帯を設けると同時に、ボールが遠くに飛んでいくことがない状態にしなければいけません。
特にゴールの後ろはシュートが飛んでいくことが多く、大きく外れやすい場所です。高めの防球ネット、会場によってはボールを拾ってくれる人員を確保することも大切です。
ハンドボールコート作成の準備物
ハンドボールコートを作るにあたり、用意しておくと便利なものを紹介します。
必ず必要になるもの
ハンドボールのコートを作るのに必ず必要になるのが、ゴール、ベンチ、オフィシャル用のグッズ、ラインをかくことができるものです。
ゴールについて
ゴールは、会場の責任者に許可を得て移動させましょう。体育館で行う場合にはフロアー面に傷をつけないように、台車などに乗せて運ぶのがベストです。
ハンドボールのゴールは安定性が悪く、必ず固定をするための器具がついています。ゴールを設置したら、器具でしっかりと固定するのを忘れないようにしましょう。
オフィシャル用のグッズについて
オフィシャル用のグッズは、筆記用具とタイマーが必要になります。
タイマーは、ハンドボール専用のものを使うのではなく、バスケットボールなどで使われているタイマーで十分です。表示は残り時間と点数の機能があれば問題ありません。
また、選手情報や特典を記載するためのスコアシートが必要になります。
コートのラインを作る道具について
体育館で行う場合は、ラインテープ(太さは5cm)を用意しましょう。
外で行う場合には、ラインカーの太さ設定を5cmにしておきます。
あると便利なグッズ
ゲーム中にはあると便利なものもいくつかあります。
得点盤
オフィシャル前に設置されたものではメインスタンド側から得点を確認することができないので、反対サイドに置く得点盤があるとよいです。
ライン消しテープ
体育館では、さまざまな競技スポーツのラインが引かれています。
特にサイドラインとアウターゴールラインについては選手が混同するとプレイに大きな支障が出てしまうので、同じような方向にひかれているラインがあるのであれば消しておくのがよいです。
まとめ
ハンドボールコートを作成するには、決められている長さに確実に線を引くことがポイントになります。
長さを間違えてしまうとゲームに大きな支障を生じることになります。特にハンドボール独特のラインである、ゴールエリアラインやフリースローライン、7mラインについては引き方について勘違いをしている人も多いので注意しましょう。
基本は、ハンドボール競技規則を見ながら、正しく、安全にプレイすることができるコートを作りましょう。
参考
公益財団法人 日本ハンドボール協会「ハンドボール競技規則 2018」
ハンドボールスコアシートの書き方 無料ダウンロード 高校ハンドボール情報 パラバン!