基礎力を大切にしつつ体力強化を
出来上がってきている身体
同じハンドボールというスポーツをしていくにあたり、中学生と高校生の違いは身体にあります。
中学生は、まだまだ発展途上の身体であり、練習メニューも発育を考慮しなければいけません。
しかし、高校生となるとある程度身体が出来上がっているので、基礎力を鍛えつつ、パワープレイできる身体を作る必要があります。
中学生とは当たりが違う
中学から高校のハンドボールに変わって驚くのが、スピードとパワーです。
特にパワーは比べ物にならないくらい強くなっており、トレーニングをしないと強い当たりで飛ばされてしまいます。
本来ハンドボールでは身体接触が禁じられていますが、ポジション争いや多少のチャージまでは寛容されている部分があり、当たり負けしない身体作りはとても大切です。
特に高校生で鍛えておかなければいけないのが、下半身の筋力です。
スクリーンプレイなどフォーメーションプレイが多くなる高校生では、6mライン付近での攻防が激しくなります。
当然邪魔をしていれば相手選手から押しのけられることになりますが、この力に対抗できるだけの下半身がないと、フォーメーションプレイをすることができません。
体格的なミスマッチが起これば、その部分は相手チームから狙われることになるので、相手に負けないパワーをつけましょう。
そこで重要になってくるのが筋力トレーニングです。
トレーニングの方法としては、一番簡単なのはトレーニングマシーンを使ってやる方法ですが、高校にそんな設備があるところのほうが珍しいです。
そこで、タイヤなどの重量物を引っ張ったり押したりするトレーニングや、ランニングなど、体幹に負荷がかかるような練習をするとよいです。
高校生レベルになると、身長が170cmの後半になるような選手も出てきます。こうした選手と互角に渡り合える身体の強さがないと自分のプレイができません。
高校生から変わる条件
試合の時間が5分長くなる
中学生からハンドボールをやっていた人が戸惑うことに、試合時間があります。
中学校のハンドボールの試合時間は25分ハーフの合計50分が基本で、地域によっては試合数の確保の観点から、20分ハーフで行われているところもあります。
一方で高校になると、公式のゲームでは30分ハーフの合計60分で戦います。
ハーフで5分から10分のゲーム時間延長は、ゲームをする人にとっては大きな負担です。したがって、試合時間分を走ることができるだけの体力を付ける必要があります。
また指導者目線から考えると、固定されたメンバーで戦うだけなく、自由な交代枠を利用して、サブメンバーを活用しながらゲーム展開に応じた選手の使い方がポイントになります。
ボールのサイズが大きくなる
高校生のハンドボールをするようになると、男子選手が気を付けなければいけないのがボールの変更です。
中学校では2号球を使っており、直径は18cm、重さは約340gになっています。高校でも女子のハンドボールでは2号球を使うので変わりませんが、男子は3号球に変化します。
3号球は2号球と比較すると直径で1cm、重さで100gのアップになります。
ボールが大きくなり、重たくなるとドリブルはしやすくなりますが、パスやシュートのスピードが落ちますし、ボールを持つ握力も必要になります。
パスやシュートのスピードが落ちれば、それだけ相手に止められやすくなりますし、握力が低下してくるとボールのコントロールができなくなります。さらにひじや肩への負担も大きくなります。
ボールの大きさが変わっても、今まで通りのパフォーマンスをするには、変化に対応できる身体にならなければいけません。
プレイ面での変化はどんなことがあるか
多様なフォーメーションプレイを可能にする
高校生のハンドボールで勝ちたいのであれば、1人に頼ったゲームメイクをするのは危険です。
中学校レベルであれば能力差が大きいので、エースと呼ばれる選手にボールを集めて点を取っていく方法がありますが、高校生レベルになるとマークが厳しくなり、点を取ることができなくなります。
そこで、中学校以上にフォーメーションプレイが重要視されます。
ただ、ボールを左右に振って隙間を作るだけではなく、ディフェンス選手の間に他の選手が入り込んで空間を作り出すスクリーンプレイは、いろいろなバージョンができるように練習しましょう。
6人で行う素早いセットプレイ
高校生レベルになるとみんな動きが素早く、ちょっとした隙でもボールを取りに来ます。
そのため、相手の素早さに対抗することができるボール回しを練習します。このときに、できるだけボールを大きく(サイドの選手がエンドラインぎりぎりでボールを受けることができる)回すようにします。
サイドの選手は、サイドラインの外から入ってきて、ボールを受けるところまで大げさに練習してもよいです。
これだけ大きくボールを動かしても、ボールのスピードが遅いと相手ディフェンスが来てしまうのが高校生レベルです。
この練習だけではシュートまで行けませんが、ディフェンスに穴を開けられるくらいのスピードまで訓練することが大切です。
フォーメーションとフリーオフェンスの組み合わせ
高校生になると、ユーゴを使った戦術やサイド選手がフローターに上がってのポストプレイなどのフォーメーションができるようになってきます。
しかし、これらのフォーメーションプレイは名前が知れ渡っているので、同じ戦術ばかりでは相手にカバーされてしまいます。
中学生であれば、何度もフォーメーションプレイを繰り返すことでその動きをマスターすることができますが、高校生レベルになると1種類だけでは勝つことができません。
そこで、フリーオフェンスとの組み合わせも大切になります。速攻やポストプレイ、状況に応じて戦術を使い分けることができるようにしましょう。
また、戦術をコントロールする人を明確にして、その人の指示により全員が意思疎通をして動くことができるようにするのが大切です。
スピードとパワーをトレーニングする
上位チームほどパワープレイが多い
ハンドボールの強豪チームは、スピードだけでなくパワーも優れているチームが多いです。
多少の当たりではドリブルのスピードが落ちず、そのままディフェンスの上を超えてシュートを打ってくるようなチームもあります。
そのため、普段の練習から当たり負けしないようにトレーニングする必要があります。
練習するときに壁やコーンなどの障害物を置いて練習することは多くありますが、こうしたものは、邪魔をしてくることはありません。
ものを置いてトレーニングするよりも、実際のディフェンスと向き合って練習することが大切です。
そして、ディフェンス側も厳しく当たること、シュートを打つ側は、多少厳しくあたられてもそのままシュートを打てるようにトレーニングしましょう。
ゴールへの意識を高める
強いチームと弱いチームの違いは何でしょうか。それはゴールに対する意識の違いです。
高校生くらいになると、意識の差が大きくプレイに出ます。多少障害があっても思い切ってシュートしてくるようなチームは、強いチームであることが多いです。
こうしたチームは、練習のときからシュートを打つことに対して強い意識を持っており、パスよりも自分で決める意識が定着しています。
そこで、普段の練習からゴールへの意識を強く持って練習に取り組ませるようにしましょう。
これは指導する立場の人間が、日頃から意識させることです。
自分の置かれた状況が、厳しくてもシュートを打てるという体験があれば、積極的にシュートを打てるようになります。
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