練習の開始から行いたい基礎メニュー
怪我を防止する柔軟を入念に
ハンドボール初心者という人は、当然ながら身体もハンドボール向きにはなっていません。そこで、準備体操の段階からハンドボールというスポーツに合ったメニューをこなすようにしてみましょう。
どのスポーツでも行う基本的な準備体操のあとに、柔軟やストレッチを多めに入れるとよいです。
ジャンプが多いハンドボールでは、足腰に負担がかかります。また、着地時には足首にも大きな負担がかかります。
こうした負担で負傷しないようにするためにも、足首や腰回りのストレッチを入念に行いましょう。
ゴールキーパーやサイドシューターは特に体が柔らかいほうが優位なので、普段から柔軟性を高めておくことが大切です。
パス練習で正確なパスを身に付ける
初心者が最初に身に付けたい技術が、パスです。
ハンドボールにはいくつかのパスがありますが、基本のオーバーハンドパスをしっかりとできるようにトレーニングします。
ハンドボールは片手で持ってボールを投げますが、大きなボールのため、始めたころはなかなか上手く投げることができません。
野球ボールを投げるのとは手首の使い方が違うので、違いを理解して、相手の胸元にさまざまな距離でボールを投げることができるようにしましょう。
中学生男子であれば25m、女子で20m、高校生であれば男子で30m、女子で25m程度の遠投ができるようにトレーニングしましょう。
徐々に距離を伸ばしていくことで、正しいフォームを身に付けるだけでなく、投げるために必要な筋力トレーニングもできます。コントロールをよくするためにもボールをしっかりとした縦回転で投げることができるようにしましょう。
慣れてきたら自分が動きながら投げたり、キャッチする相手を動かして予測した場所に投げたりする練習をするのもよいです。
動きながらキャッチし投げる練習
ハンドボールでは、止まった状態でボールを受けたり投げたりするよりも、動きながら行うことが多いです。
しかし、初心者はボールを受けるときに一旦止まらないと受けられない人が多いようです。そこで、走りながらパスの受け渡しをする「ランニングパス」をやるとよいです。
パスの形は向かい合う、三角形(トライアングルパス)、四角形(スクウェアパス)などさまざまですが、どれもハンドボールの基礎技能になります。
中学生の指導者の中には、将来的に速いパス回しをするため、新入部員にスクウェアパスを徹底的に教え込み、速いパス回しをする基礎を作る指導をする人も多くいます。
右回り、左回りで難易度が変わりますし、パスのスピード変化、ボールキャッチの姿勢を指定、ジャンプしてパスをするなど、応用の効く練習であることが初心者に教えるメリットです。
中盤で行いたい負荷のかかる練習
基礎練習で身体が温まったところから、応用練習に入ります。
応用練習では、身体に少し負担がかかるものの、初心者が身に付けるべき練習を紹介します。
フットワークを鍛える
ハンドボール練習の基礎になる、身体の動きを作るトレーニングがフットワークです。
サッカーやバスケットボールでも、初心者は必ずそのスポーツに合ったフットワークトレーニングをすることが多いです。
ハンドボールの場合はバスケットボールと似ており、サイドステップが中心です。コーンを置いて、そのコーンに向かってまっすぐ進み、左、右とサイドステップをきってコーンの後ろに動く―これがフェイント練習の基本になります。
素早く、滑らかに動くことができるようになるまで練習することが大切です。最初のうちはコーンを縦において、それをジグザグに追い抜いていくのもよいです。
足の動きができるようになったら、パスを受けて実際に人に立ってもらい、抜く練習をします。
5mくらい離れて人が立ち、相手にボールを投げます。受けた選手は、そこからサイドステップでボールを投げた人を抜きます。
ボールを投げた人は、そのまま立っているのではなく、相手選手に詰めていきます。
オフェンスとディフェンスの練習を両方行うことができるだけでなく、狭いスペースでボールひとつあれば練習することができるので、初心者向け練習としてはとても便利です。
上手になってきたら、ディフェンスの動きを大きくすると効果があります。あまりに横に動きすぎると意味がなくなるので、左右に動くことができる範囲を制限すると難易度が上がります。
フットワークを使ってシュートまで
ハンドボールで一番多い得点シーンが、ボールを受けて相手と1対1になり、それを抜いてシュートする場面です。
この技術は初心者が最初に身に付けないといけない技です。フットワークの次には、ボールを受けて、サイドステップで相手を抜き、シュートするまでの一連の流れをトレーニングしましょう。
最初のうちは、ボールをつかんで、フェイントをかけるだけでもとても大変です。特にボールをしっかりと握っていないとボールを落としてしまいますし、サイドステップをするタイミングが早いと効果のないフェイントになってしまいます。
ボールを受ける位置、相手ディフェンスとの距離感を身に付けるためにも、何度も練習を繰り返し、自分の適切な位置でボールを受けることが大切です。そして、フェイントを使って相手を抜き、シュートまで流れるようにできるようにしましょう。
初めのうち、ディフェンスは動かない状態で練習し、徐々に慣れてきたところでディフェンスの動きを入れていくのがよいです。この練習は、さらに発展させることができ、オフェンスを2人にすれば2対1でフェイントとパスの練習にもなります。
今後、フォーメーション練習に発展させていくためにも個人技を高めるとよいです。
練習するときの注意点として、フェイントをかける方向が片寄らないようにしましょう。
例えば右利き選手の場合、どうしてもシュートを打つのが右側の方からの方が楽なため、フェイント練習をすると右に抜こうとします。ドリブルも右ばかりでする人もどうしても右から抜くように動きが片寄ります。
そこで、左右どちらでも使うことができるように初心者のうちから練習しておくとよいです。
特に利き手側ではないドリブルを使うことができると、試合で助かります。相手ディフェンスも基本的に利き手側をチェックするので、左右使える人はディフェンスにとって嫌な相手になります。
フォーメーションの動きを覚える
動きを覚えながら自分のポジションを見つける
練習の後半になったら、それぞれのポジションに分かれてボール回しの練習をするとよいです。
ポジションごとにボールを受けるタイミングや走り出すタイミング、動き方が違うので、フォーメーションの動きを初心者の段階から練習することは、パス回しや動き方を覚えるためには最適の練習方法です。
シュートまでは行かなくても、どう動けばよいのか、基本形を覚えることが大切です。
また初心者であれば、この練習をしながら自分のポジションを決めていくことも大切です。
シュートできる範囲、ボールの受け易さ、脚力など初心者の人は、自分がどのポジションに合っているのか分かりません。フォーメーション練習をしながら、自分に合っているポジション探しをしましょう。
動画や実際の試合を見る
最後に、初心者がするとよい練習ではないですが、空いている時間にやってほしいのが実際にゲームを見ることです。
今は、インターネットを利用すると簡単にゲームの動画を見ることができます。また、社会人リーグや高校生の大会などハンドボールの試合はいろいろなところで行われています。
こうしたゲームを見ることで、選手の動き方やポジショニング、試合前の練習を見ることができます。
自分の練習に参考になることも多くあるので、練習ができないときには動画などを見て、イメージトレーニングすることは大切です。
初心者におすすめな参考動画
ハンドボールの投げ方紹介
ハンドボールの握り方
ハンドボールの受け方講座
ハンドボールフェイント練習
ハンドボールオフェンス練習法