ハンドボールの RW(右サイド)とはどんなポジション?
LWと対象の場所に位置しており、LWと真逆に右サイドを駆け上がっていくポジションがRWです。
LWと同じような働きがある一方で、テクニックが求められるシュートやフェイントが必要になるのが、RWです。
LWのポジション特性
最も長い距離を駆け抜ける
RWはLWと対照の位置にあるポジションで、働きはLWと変わりません。
速攻の時には右サイドを駆け上がり、ディフェンスのときにはゴールラインに近い位置まで下がってこなければいけないので、長距離を走る速さと体力が必要になります。
LWとRWで足の速い選手がそろっていれば、それだけで2つの攻撃パターンを持つことになるので、相手は守りにくくなります。
圧倒的に左利き優位のポジション
ハンドボールのポジションの中で、最も左利きの選手が求められるポジションがRWです。
右利きでもRWに選手が入ることがありますが、シュートコースの都合上、シュート範囲が狭く、シュートコースを広げようとすると高度な技術が求められます。
チームに左利きの選手がいれば、優先的にRWにあてはめてもよいほどです。
RWの適性を持つのは走力・ジャンプ力・技術力に優れた人
速攻ができる走力
LWの選手と同様に、RWの選手も瞬間的に速く走ることができる脚力と加速力が必要です。
速攻になれば、ディフェンスの選手よりも少しでも早く相手ゴールに近づく必要があります。
20mから30mの距離をだれよりも早く走ることができる選手が、RWまたはLW向きの選手になります。
足が速く、左利きの選手がいれば申し分ないです。
シュートコースを広げるためのジャンプ力
RWの選手は、サイドシュートでゴールを決めることが多いです。このサイドシュートは、シュートコースが広ければ広いほど、ゴールの確率が上がります。
このシュートコースをあけるときに6mライン付近からジャンプしますが、ジャンプ力があればあるほど遠くに飛ぶことができるので、それだけシュートコースを広くすることができ、得点の確率が上がります。
RWに左利きが優位と言われているのは、このサイドシュートを打つときに右手で投げるのと左手で投げるのとでは、肩幅の分だけ左利きの方がシュートコースを広げることができ、優位であることに由来しています。
高度な技術が求められるRWのシュート
チームに左利きの選手がいない場合には、右利きの選手が務めることになります。RWが右利きの場合、シュートに高い技術が求められます。
ハンドボールの各ポジションの中でも最も難しいシュートと言われている「ダイビングショット」と「スピンショット」の2つを打つことができるとよいです。
この高い技術力が必要になる2つのシュートを打つことができれば、攻撃の幅が大きく変わります。
RWの基本的な位置取りと動き
オフェンス時のRWの位置取りについて
RWの選手がオフェンスの時に位置取りをする場所は、RBの選手からゴールライン沿いに移動したところで、ほぼサイドライン沿いにポジションを取ります。
意識をしたいのがLWの選手との連携で、2人がそれぞれの45ポジションに近いところに立っているときは、相手のディフェンスは中央に寄り気味になり、真ん中からの攻撃はやりにくくなります。
逆に、ゴールラインとサイドラインの交点あたりまでポジションを広げているとディフェンスの間隔が空くので、中央からの攻撃がしやすくなります。
サイド選手の位置取りは、ディフェンスをかき乱すのに有効です。RWの選手が勝手に判断をして動くのではなく、LWの選手と連携して動き、中央の攻撃をサポートすることも意識することが大切です。
ディフェンス時のRWの位置取りについて
ディフェンスのときには、RBの右側につき、相手のLWの選手をマークすることになります。基本的には6mラインに張り付き、サイドシュートを打たれないように守ります。
LWの選手は右利きの人が多く、角度のない場所からでもプロンジョンシュートを打ってくるときがあります。相手チームが練習しているときからどのような人がLWに入ってくるのかを確認しましょう。
また、ゲームに入ってからも相手のLWがどのぐらいの角度からならシュートを打ってくるのか、プロンジョンシュートができるのかできないのかを見極めることが大切です。
守備ラインの線引きをすると、余分な動きをしなくて済みますし、相手のLWの攻撃を封じることができます。
やってはいけないのが、LWの守備と同じで前に出過ぎて、背後を取られることです。相手のLWの選手に背後を取られてパスを回されると、カバーする選手がいないので一気にピンチになります。
相手のLWの位置を確認しながら、マンツーマンに近い形でマークをすることが大切です。
RWから速攻をかける
RWは、LWと並んで速攻のときに一番に出ていく役割があります。
走り出すタイミングは相手のRBまたはRWがシュートを打った瞬間で、反対側サイドにボールがあるときにはいつでも速攻に飛び出すことができるように、やや前目に守ることが大切です。
気を付けなければいけないのがRBの動きで、ディフェンスのRWの選手が早く飛び出そうとしてしまうとRBがシュートと見せかけ、LWの選手に向かってパスを出すケースがあります。
このパスが通ってしまうと完全に裏をかかれる状況になってしまうので、シュートを打ったことを確認して飛び出しましょう。
センターやポストからのシュートは、飛び出す役割をLWの選手と事前に確認しなければいけません。
基本的にはシュート力のある選手が飛び出します。そして飛び出した選手のポジションに、ポストまたはLBかRBの選手がリバウンドのカバーをします。
速攻をかけるときにはサイドライン際を走り、センターラインを越えたあたりで中央に向かって動くとボールが出しやすく、キャッチした後のシュートコースも広くなるので、得点の可能性を高めることができます。
速攻選手にボールを出すときには、相手がゴールに近づいたところでボールを出してしまうとキーパーが出てきてカットされてしまいます。
RWの選手の走力を考えてボールを出すことと、速くバウンドをしたボールを出すのも受け手は取りやすくなります。
RWが身に付けたい能力
左利きはサイドシュート
RWの難しいところは、利き手によって身に付けなければいけない能力が違うところです。
まず左利きの場合は、基本のサイドシュート以外にサイドスローのサイドシュートを身に付けたいところです。
オーバーハンドはスピードが出ますが、サイドシュートの場合、スピードよりも正確にキーパーの脇を抜くコントロールとシュートコースを広げる技術が必要になります。
右利きのLWと同じことが言えますが、シュートコースを広げるため「サイドスローによるシュート」「逆足ジャンプ」ができると申し分ないです。
どちらも練習が必要ですが、わずかな隙間でも打ってくるサイドシューターと相手に印象付けることで、RBやセンターからの攻撃も楽になります。
左利きのRWの場合、サイドシュートで狙うのはサイドネットまたは、ゴールキーパーの股下になります。
特にサイドネットを狙うことができるRWがいるとゴールキーパーにとっても守りにくく、サイドネット側をケアしようと思うと、キーパーにとって左側のコーナーポスト付近を空けてしまうことになります。
キーパーの脇が空くようになったら、サイドシュートを打つ人はより楽になります。
右利き必須のプロンジョンシュート
右利きRWの場合には必須の能力で、上のレベルのプレイヤーになりたいのであれば左利きのRWまたは右利きのLWも身に付けたいシュートがプロンジョンシュートです。
通常のジャンプシュートは、ゴール側にジャンプして距離を稼ぎ、シュートを確実にゴールに入れようとするものに対して、プロンジョンシュートは、中央に向かってジャンプして角度を稼いでシュートするやり方です。
動画などでシュートシーンを見ると通常のジャンプシュートと変わらなく見えるので簡単そうに見えますが、かなり高度な技術が必要です。
1つ目のポイントが、中央に向かってジャンプをするため、横に飛ぶような感じになります。
この横跳びの状態で、ゴールキーパーの動きとゴールの位置を確認してシュートを打たなければいけません。身体が横に流れた状態で、直角の方向にボールをコントロールよく出すのは難しい技術です。
さらに通常のジャンプシュートは、走ってきた力をそのままボールに伝えることができるので威力のあるシュートを打つことができますが、プロンジョンシュートの場合、横に動いているので威力のあるボールは打ちにくいです。
しっかりとしたボールを投げるためには強いスナップが必要で、それもジャンプしてから空中で素早く振りかぶり、シュートする技術が必要です。
2つ目が、シュート後のケアです。身体が横に飛んだ状態でシュートをするので、着地をするときに不安定になります。プロンジョンシュートをするときには、必ず受け身を取る技術を身に付けておかないと大怪我になります。
受け身はスライディングやローリングがあり、プロンジョンシュートの練習をするときにはマットなど柔らかいものを敷いて、シュート後の着地に失敗したとしても怪我をしないように練習することが大切です。
シュートをするときにリスクはありますが、中央に跳ぶ分だけシュート角度を稼ぐことができるので、シュートの確実性を上げることができます。
右利きRWの場合、肩幅分だけ角度が狭くなるので、プロンジョンシュートを身に付けて角度を稼ぐ必要があります。
バウンドシュートでゴールを狙う
右利きRW限定のシュートですが、ボールに回転をかけてバウンドさせてゴールを狙う方法があります。
右利きの人が右回転(野球で言うカーブやスライダー回転)をボールにかけると、ボールはバウンドした後に利き手の方向に曲がります。この曲がりを利用して、ボールに回転をかけてシュートを打ち、サイドネットを狙います。
ポイントは回転量とバウンドさせる位置で、バウンド位置が遠いとゴールには入りません。
何度も練習して、最適の位置でバウンドさせることが大切です。
RWの参考動画
RWの参考動画をいくつかご紹介します。シュート、動き方、世界的な選手のプレー集です。
右サイドのシュート解説
サイドの動き方
プレイ集
シュート練習とシュートのルールをおさらい
ハンドボールのシュート練習やシュートの基本ルール、反則行為などについて、参考になる記事をピックアップしました。
こちらもチェックしてみてください。
ハンドボールのシュートにおける基本ルール ハンドボールのシュートシーンにおいても、たくさんのルールがあります。 ルールを理解したうえでシュートしないと、せっかくボールが相手のゴールに入ったとしても無効 … 続きを見る 個々の技術が局面を打開する 一対一で負けない能力 ハンドボールはチームスポーツですが、チームが勝つためにはチーム力と同じくらい個々の能力が大切になります。 特にオフェンス側が優位と言われている個々の対 … 続きを見るハンドボールの「シュート」ルール
ハンドボールのシュート | 種類とコツ、正しいフォーム練習まで