ハンドボールの GK(ゴールキーパー)とはどんなポジション?
ハンドボールのゲームにおいて、唯一ゴールの前に立ちはだかることができるポジションがGKです。
フィールドプレイヤーは7mラインよりも内側に入ることはできず、この中に入ることができるのがGKになります。
ゴール前の最後の砦として、チームの失点を防ぐ役割を担います。
ハンドボールにおけるゴールキーパーのルール
ハンドボールのゴールキーパーは、ポジションの特性上、フィールドプレイヤーとは異なるルールが適用されます。
自分が最後にさわってもマイボール
ハンドボールのゴールキーパーとサッカーのゴールキーパーの一番の違いと言ってよいのが、ハンドボールでは、ゴールキーパーが最後に触ってエンドラインを割った場合には、マイボールとしてスタートする点です。
サッカーであれば相手のコーナーキックとなってしまうためボールをキャッチしなければいけませんが、ハンドボールの場合には、キャッチしなくてもゴールの外に弾き出せばマイボールになるルールがあります。
このハンドボールルールはゴールキーパーにのみ適用されるものであり、他のフィールドプレイヤーが触れてエンドラインを割った場合には、相手ボールになります。
相手のシュートが味方選手に当たって、ゴールキーパーが触れてエンドラインを割った場合にもマイボール扱いです。
体のすべてを使ってボールを止めることができる
ハンドボールのゴールキーパー独特のルール2つ目が、身体をすべて使うことができることです。
通常、フィールドプレイヤーは足でボールを扱ってしまうと反則になります、ゴールキーパーは7mラインの内側に限り、足を使ってボールを止めることができ、シュートを防ぐときの方法としてよく利用します。
ただし、7mラインを超えて外に出ているときは、ゴールキーパーであってもフィールドプレイヤーと同じ扱いになるので、足でボールを扱うと反則になります。
自由に動き回ることができる
ゴールキーパー独特ルールの3つ目が、守備範囲です。ゴールキーパーは唯一、自陣の7mライン内に入ることができます。
さらにフィールドにも出ることができるので、広い範囲を動くことができます。
ハンドボールのゴールキーパーに関するルールについては、下記で詳しく解説していますので、こちらものちほどご覧ください。
ハンドボールの「キーパー」ルール
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GKの適正を持つのは体格・判断力・柔軟性に優れた人
体格は大きいほうが有利
ハンドボールのゴールキーパー適性を持っている人は、どんな人でしょうか。
まず、体格に恵まれている人です。ハンドボールのゴールは、横3m、高さ2mしかありません。サッカーゴールに比べるとはるかに小さく、横に飛びついてボールを取ることもほとんどしません。
したがって体格が大きければ大きいほど、シュートを打つ人はゴールが小さく見え、シュートが打ちにくくなります。
両手・両足を広げたときにゴールの前に大きく立ちはだかるような雰囲気を出せる体格があると、申し分ありません。代表クラスになると180cmを超える人がほとんどです。
瞬時の判断力が必要
ゴールキーパーで一番大切な適性が、ボールに対する判断力です。
ハンドボールでは7mラインからシュートを打つことになりますが、実際にはこの位置からジャンプして前に飛びながら打ってくるので、実質5m付近からシュートが放たれます。
ゴールキーパーは、そのボールの位置を判断し、瞬時にボールを叩き落とす必要があります。
コースによっては手だけでなく、足を伸ばしたり、身体をボールにぶつけたりします。
トップクラスであれば時速100km、中学生でも時速60km近いスピードのボールを瞬時に判断して反応しなければいけないので、並の反射神経では対応できません。
高い反射神経とボールに対する判断力を持っている人が、ゴールキーパーに最も適任と言えます。
柔軟性があると守備範囲が広くなる
意外かもしれませんが、ハンドボールのゴールキーパーは柔軟性を持っていることも大切です。これは、足を使ってボールを止めることができることに由来します。
ゴールキーパーをしている人にとって、一番取りにくいシュートが足元。特にゴールの両隅の下は手が一番出にくいところになります。
シューターは、それを分かっているので、シュートを打つときに狙うコースにもなります。
このコースのシュートに対して対応できるのが、柔軟性のある足です。足を広く広げることができれば四隅の一番取りにくい部分をカバーすることができます。
ゴールを守るために身体を大きく、柔軟に使うことができるのも大切です。
ゴールキーパーの違う役割
攻撃の起点となる
ハンドボールのゴールキーパーは、守護神としての役割だけでなく、攻撃の起点にもなります。ハンドボールのコートは小さく、ゴールキーパーから1本のパスでゲーム展開は大きく変わります。
実際に味方選手は、相手選手がシュートを打ったと同時にシューターと反対サイドの選手が速攻に向けて走り出します。
ゴールキーパーは、ボールを止めたら即座にその選手に向かって縦パスを出します。パスを出す際には味方選手の脚力、距離を判断し、ボールを投げなければいけません。
アメリカンフットボールのクォーターバックのように味方選手にパスを出す必要があり、1本のパスでゲーム展開を変えることができる攻撃の起点になります。
守備の指示出し役
縦パス1本でゲーム展開が変わるということは、逆のことを行われれば一転ピンチになります。
攻撃から守備に変わるときには、コート全体を見ながら指示を出すことが求められます。
状況によっては自分がフィールドに出ていって、速攻のボールをはじき出すことをしなければいけません。
ゴールキーパーの基本的な位置取りとシュートの止め方
キーパーの位置取りはボールに合わせて、半円または台形を描くように動くのがコツ
ハンドボールゴールは横幅が3mしかないので、ゴールキーパーが守る範囲もこのエリアになります。そのため、短い時間に効率よく動く位置取りが大切になります。
基本は、ゴールポストの端から端に向かって、ゴールの中心から半円を描き、その半円状をなぞるように動きます。
人によっては7mラインの形に合わせて、台形を描くように動くよう指導する人もいます。
このため、ゴールポストに近くなればゴールポストに寄りかかるような位置に立ちますし、ボールをセンターが持っているときにはゴールラインよりも1mほど前に出て立つようにします。
台形を描くメリットは、45の選手がボールを持ったときには、台形の角にあたる部分に立つことを表しています。
このライン上を動くことを基本にしながら、相手のどの選手がボールを持っているかによってゴールキーパーは右に左に常に動かなければいけません。
基本はボールのある位置におへそが向くように移動することです。
シュートシーンはシュートコースを狭めるようにするのがコツ
ゴールキーパーはボール回しをしているときには、ゴールの周りを動きますが、いざシュートが打たれたときには違う位置取りをします。
大切なのはシュートコースを消すことで、ほとんどの人が、守っていた位置よりも少しだけ前に出ます。最初は少し怖いと思うかもしれませんね。
理想の位置取りは、シュートを打つ人を中心にして、シュートを打つ人とキーパーの右手、そして右ポストが上から見たときに一直線上になり、同じように左手と左ポストが一直線上になる位置に立ちます。
両手を広げたときの大きさは人によって異なるため、一概に何m前ということは言うことができません。シューターにとってはシュートを打つコースが狭いとそれだけ打ちにくくなります。
ただし、注意点としてサッカーとハンドボールの違いにシュートの打ちだし範囲があります。
サッカーの場合はボールを蹴る部分からしかボールは動きませんが、ハンドボールの場合、手で投げるので自由にボールの出発点を肩の動く範囲で変えることができます。
キーパーがシュートコースを狭めるときにはシューターの身体の位置を見るのではなく、ボールの投げる位置を起点にしなければいけません。
また、前に出れば出るほどシュート範囲を狭くすることができますが、後方が空いてしまう分だけ、ループシュートやバウンドシュートが可能になります。
練習の段階から自分に合った位置取りを考える必要があります。
キーパーの姿勢と動き方
素早く小さく動くこと
ハンドボールのゴールキーパーは守る範囲が小さいので、大きく動くのではなく、素早く動くことが求められます。
そのため、サッカーのゴールキーパーのように膝をしっかりと曲げて四隅のボールの飛びつく姿勢を作るのではなく、足を軽く開き、膝を軽く曲げて俊敏に動くことができる準備をしておきます。
シューターがシュートモーションに入ったら、その姿勢のまま少し前に出てシュートコースを狭めさせるように動きます。そしてボールのコースを読んで、手や足を出しシュートをブロックします。
大きく動こうとする癖のある人は、予備動作の段階でシューターに動きがばれてしまいます。相手の手からボールが離れる瞬間を狙って動き始めるようにします。
体は大きく見せ、やや前重心で待つ
ゴールキーパーとしてボールを待っているときの姿勢は、両手を大きく上げ、身体を大きく見せましょう。
手を下げているとシュートコースが開いているように見えますし、上の方に飛んできたボールに対する反応が遅くなります。
そして素早く動くことができるように待っているときも、つま先立ちをして、やや前重心で準備をしておくことがポイントです。
DFとの連携も大切
ハンドボールで失点を防ぐためには、ゴールキーパー1人で行うことはできません。大切なのはDFとの連携です。
例えば、相手のエースがロングシュートを打ってくるような場面では、ブロックのためにディフェンスも手を上げます。
このときにシュートコースを意識してDFの選手が手を上げてくれると、ゴールキーパーは逆サイドにコースを絞り込むことができます。
あまりに大型の選手でディフェンスの上からシュートを打ってくる場合には別ですが、同じような体格の選手の場合、わざとコースを限定させてロングシュートを打たせ、ゴールキーパーがセーブしたと同時に速攻に移るという戦術があります。
社会人レベルになると大型選手がそろうのでなかなかできませんが、中学高校レベルでは、十分に作戦として使うことができます。
おすすめのゴールキーパー練習動画
ハンドボールのキーパー練習でとても参考になる動画がありますので、ご紹介します。ぜひ練習の参考にしてみてください。
※47:23の「3.状況判断トレーニング」がおすすめ。
キーパーの役割が分かったら
ハンドボールのキーパーについて、基本ルールや役割が理解できたら、ルールや練習メニューを理解しましょう。
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