ハンドボールのフィールドプレイヤーの中で、少し変わった動き方をするのがポストプレイヤーです。
強いチームには、必ずよいポストプレイヤーがおり、得点を取らなくても、動きによって点を取りやすくする重要なポジションです。
ポストだからと言って、特別なルールが適用されることはなく、基本的にはフィールドプレイヤーと同じルールが適用されます。
しかし、ポストプレイヤーがゆえに、犯してしまいやすい反則があるのも事実です。
よいポストプレイヤーを目指すのであれば、ポストが犯しやすい反則を理解したうえで、普段の練習から動きを考えましょう。
ポストプレイヤーと切り離せないブロッキングの反則
切っても切れないブロッキング
ハンドボールのポストプレイヤーが一番犯すであろう反則が「ブロッキング」です。
逆に全くこの反則をしないポストプレイヤーがいるとすれば、ポストとしての役割をしっかりと果たしているのだろうかと疑われるような反則です。
それくらいポストプレイヤーのプレイは、ブロッキングの反則との戦いにもなります。
ブロッキングとは何か
ブロッキングとはオフェンスファウルのひとつで、ディフェンスの選手が移動したいのに、それを手や足を使ってガードをしてしまうことです。
手や足を使うというとハッキング(相手の選手を手でたたく)やホールディング(相手の選手の動きをつかんで止める)といった反則が出てきますが、これらはすべてディフェンスファウルとなり、ブロッキングとは異なります。
どちらかというとブロッキングは、チャージング(オフェンスの選手が正面にいるディフェンスの選手に対して正面から当たること)に近い反則であり、レフェリーの手の動きもブロッキングとチャージングは同じです。
コースを開けるためにやってしまう
なぜ、ポストの選手はブロッキングをしやすくなるのでしょうか。それは、ポストプレイヤーの役割と大きく関係しています。
ポストプレイヤーは9mラインと6mラインのディフェンスラインの間に入り込むことが多いです。そして、他のプレイヤーのボール回しに合わせて動き、他のプレイヤーがシュートしやすいようにシュートコースを開けます。
このシュートコースを開けるときにディフェンスの邪魔をするのですが、邪魔するときに手や足を使ってディフェンスを止めてしまいがちなのです。
足や手でディフェンスを押さえてしまうと、ディフェンスの動きを妨げたとして「ブロッキング」の反則を取られます。
最近の傾向として、身体接触がある程度認められているハンドボールにおいてもブロッキングは厳しく取られるようになってきており、お尻でディフェンスを押したり、足を広げて立っていたりするだけでも反則を取られます。
あくまで身体を使って邪魔をするだけであれば、違反にはなりません。(スクリーンプレイやシザーズプレイでは、必ず必要な技能で、ポストが相手選手を押さえないとスクリーンはできません)
ブロッキングを取られないようにするには
ポストをやっている以上、ブロッキングの反則を取られるのは宿命なのですが、反則をしてしまうと相手のボールになるので、せっかくの得点チャンスを逃すことになります。
では、どうしたら取られないようになるのでしょうか。
まず、大切なことは手足を広げないということです。相手の選手の動きを邪魔しようとすると、どうしても自分を大きくするため手足を広げがちです。広げないように手を自分の胸の前で組んでしまうのもひとつの方法ですし、レフェリーにもアピールになります。
2つ目は、レフェリーの基準を知ることです。高等テクニックになりますが、ブロッキングの反則の判断基準はレフェリーによって大きく違います。どこまで腕を広げたら、どこまで足を広げたら反則を取るのか、その笛を吹いているレフェリーの基準を確かめるのもひとつの方法です。
実際に筆者も、レフェリーをしているときに選手からブロッキングに対する文句を受け、警告を提示したことがあります。
一度でもブロッキングをしてしまうと、レフェリーはその人の癖を見てしまいます。手を出しやすい、空間を開けるために他の選手に対して押し出すような行為をしやすいなど特徴があると、レフェリーから目をつけられてしまうので注意しましょう。
ディフェンス時に気を付けたいゴールエリア内侵入
次にポストプレイヤーが気を付けなければいけないのが「ゴールエリア侵入」です。
ハンドボールでは、ゴールを中心として6mの半円がひかれており、この内側はゴールエリアとしてゴールキーパー以外は入ることができません。
ポストプレイヤーは、このゴールエリアに近いところでプレイをすることが多いので、ゴールエリアラインの位置には、常に気をつけておかなければいけません。
そこでポストが犯しやすい反則を2つ紹介します。
ライン内防御およびディフェンス時のラインクロス
ポストで、かつゴールエリアラインに近いところでプレイをしやすい選手がディフェンス時に犯しやすい反則が「ラインクロス」です。一般的には「ライン内防御」という反則になります。
これはゴールエリアの中に入ってディフェンスをすることで、ファウルによって明らかな得点チャンスを潰した場合には7mスロー、それ以外ではフリースローでのゲーム再開になります。
特にスクリーンをかけられて、身動きが取れないときにゴールエリア側を回り込むようにして移動してしまうとラインクロスを取られます。
違反に対するペナルティーが重く(7mスローになりやすい)、さらに警告や退場といった処分を受けることになる可能性が高いので注意しましょう。
ゴールエリア内のボールに対するラインクロス
もうひとつのラインクロスは、ディフェンス時、オフェンス時のどちらでもやりやすい反則です。
ゴールエリアの空中は、ゴールエリアとみなされていないため、飛び込んでボールを処理することができます。
まず、床に転がっている状態のボールに対しては、触れるとラインクロスになります。ゴールエリア内の床に転がっている状態のボールに触れることができるのはゴールキーパーのみです。
空中のボールに関しては触れることができますが、触れる前の段階でゴールエリアラインを踏んでいてはいけません。
ポストのポジションは、ゴールキーパーが弾いたボールやゴールポストに当たったボールが飛んできやすい場所になります。得点のチャンスとなることも多いので、飛び込む前に自分の立っている位置を確認してから飛び込むようにしましょう。
どうしても反則が多くなりやすいポジション
ポストプレイヤーは、オフェンス時に相手ディフェンスの真ん中におり、どうしても反則が多くなりやすいポジションです。当たりも激しいので、怪我を負うリスクが付きまといます。
しかし、ポストがそれぐらいのプレイをしなければ、ゲームを優位に進めることはできません。
そのため、控え選手にはポストのできる選手を入れておくべきですし、退場した時の対応策も考えておく必要があります。
まとめ
ポストプレイヤーのルールを解説してきました。改めてポイントを3点まとめてみます。
指導者の方もポストの特徴を理解し、練習中から適切に指導していくことが大事ですね。
ポスト(PV)は反則が多いポジション
ハンドボールのポストは、ポスト独自の反則はありませんが、プレイの特性上、どうしても犯しやすい反則が出てきます。
犯しやすい反則を知りましょう
ポストのやりやすい反則としては、相手のディフェンス選手に対してスクリーンプレイをかけるときに手や足を使うと「ブロッキング」になります。
また、ゴールエリアラインに近いところでプレイをしているので、ゴールエリアへの侵入やラインクロスをしやすくなるので注意しましょう。
練習時からの指導も大切
ポストは反則をしやすいところにいますが、反則ばかりしてしまうとゲームの流れを止めたり、数的不利な状況になってしまったりするので、指導者は練習時から注意する必要があります。
ポストのルールが分かったら個々の練習
ハンドボールのポストについて、基本ルールや反則行為などが理解できたら、技術を身に付けたり位置取りなどを理解しましょう。
下記に参考になる記事をピックアップしましたので、こちらもチェックしてみてください。
ハンドボールの PV(ポスト)とはどんなポジション? ハンドボールのゲーム中に、他のプレイヤーとは異なる動きをするのがPV(ポストプレイヤー)です。 得点を取るのは45やサイドの選手が行いますが、この … 続きを見る ポスト(PV)の練習メニュー ポストに求められるスクリーンプレイ ハンドボールのポジションの中でも異質なのが、ポスト(PV)です。そのため練習メニューも他のポジションとは少し違ったものが入ります。 代 … 続きを見るハンドボールのポストプレイヤー(PV) | 役割や動き方、シュートや練習まで解説
ポスト(PV)の練習メニュー