小学生においても、ハンドボールを実施することがあります。
実際に小学校高学年の体育の教科書ではハンドボールが取り扱われており、小学生からハンドボールを楽しむ人も多いです。
こうした小学生からハンドボールを楽しんでもらうことができるように設けられている競技規則が「J クイックハンドボール -U-12新ゲーム様式-」と言われているもので、小学生ならではのわかりやすいルールになっています。
Jクイックハンドボールの競技概要
Jクイックハンドボールでは、通常よりも試合時間が短くなっているため、スピーディーな展開をすることが求められます。
ハンドボールに対する「正しい習慣」を身に着けることができるように、以下の4つの点について重視されたルールに変更されています。
- 正確な基礎基本技術の習得
- 正確で素早い判断力、多面的能力の養成
- ハンドボールにおける広がりと奥行きの感覚の養成
- 1対1の強さの養成
これらの目的を達成することができるようにルール変更されているのが、小学生向きのハンドボール「Jクイックハンドボール」です。
コートのサイズについて
Jクイックハンドボールでは、通常のコートよりも小さめのコートを採用しています。
横幅は20mで、これは一般のハンドボールと同じですが、縦幅が36mとなっており、通常のコートよりも4mほど短くなっています。
そしてこの競技において重要な印になるゴールキーパーライン(ゴールから4mの位置)をゴールの正面に50cmで引く必要があります。
競技時間とタイムアウトについて
Jクイックハンドボールでは、競技時間も一般のハンドボールとは異なるタイム制を採用しています。
一般的なハンドボールでは、前後半の30分間で、休憩時間を10分間取ります。しかしJクイックでは、10分間の競技時間を3回行い、間の休憩時間は5分ずつ取ります。
これは小学生の体力を考えたうえで、この程度の時間が適切であるということ、また、全体の時間を短くすることによって、より多くの試合数を行うことができるようにしています。
ゲームによって延長戦に入らなければいけない場合には、延長戦を実施します。
作戦会議に当たるチームタイムアウトは、ゲームを通して1チーム1回まで1分間のタイムアウトを取ることができるようになっています。
延長戦に入った場合にはタイムアウトを取ることはできません。
Jクイックハンドボールのゲームスタート
競技の開始は、コイントスによって勝ちを選択したチームがチームのサイド権、またはスローオフの権利を得ることができます。
そして、スローオフによりゲームがスタートをします。
各セットにおいてサイドを交代し、スローオフも各セットで交代をするようになっています。
得点と再スタート
Jクイックハンドボールと通常のハンドボールの大きな違いは、得点後のスタート方法にあります。
通常のハンドボールでは、自分のチームが得点を取った場合には、相手チームがセンターラインからスローオフをしてゲームが再開します。
しかしJクイックハンドボールでは、点を取られたチームのゴールキーパーが、自陣のゴールエリアラインからスローオフをしてゲームがスタートします。
このとき相手の選手は自陣に戻っている必要はなく、スローオフをするゴールキーパーから3m以上離れていればよいです。
このため、相手チームにすればゴールキーパーから出たボールをすぐにカットすればサイド得点を取るチャンスが生まれるので、スピーディーな展開をすることができます。
小学生ハンドボールの特徴
試合時間は大会によって異なる
Jクイックハンドボールの規定ができましたが、すべての小学生の大会がこのルールに従って行われるわけではありません。
特に試合時間は大会の会場や年齢、またインドアなのかアウトドアで実施するのかで柔軟に切り替えています。
3セット制で行う以外にも、前後半を20分、休憩を10分間にして行うケースもあります。
ボールの大きさについて
ハンドボールのボールは、大きさによって1号~3号まで分かれています。ボールの数字が大きければそれだけボールの直径が大きくなっています。
小学校では1号球を使うのが一般的で、中学校になると2号球、高校や一般の男子で3号球を使うという感じです。
小学生では、まだまだ手が小さいため大きなボールを握ることができません。ボールを握ることができないとボールのコントロールもできなくなります。
小学生で試合をするときには、ボールの大きさにも注意をしましょう。
残りのルールはハンドボール競技規則に則る
小学生のハンドボールであっても、基本的なルールは日本ハンドボール協会の出している競技規則に則って行われます。
ファールの種類や数、さらにはラインの位置などに変更はありません。よって小学生であっても基本的な規則は覚えさせておくようにしましょう。
特にオーバーステップやダブルドリブルは、試合慣れしていないときに起こりがちなプレイです。練習から意識するように指導者が注意することも大切です。
審判から見る小学校大会
ボディコンタクトはやや厳しめに
実際に小学校の大会で審判をした経験者の話ですが、ハッキングやプッシングといったボディコンタクトに関わる反則は、少し厳しめに取る傾向があるようです。
ハンドボールでは、ある程度のボディコンタクトが実質的に認められている部分があります。しかし、小学生の段階からこのようなことを容認してしまうと、力の加減をすることができず、相手選手を怪我させてしまったり、ラフプレーが多くなったりとゲームが荒れてしまいます。
そこで、ゲームの最初の段階で、身体接触に関するファウルに関しては、どの審判もやや厳しめに取っていきます。
小学生であるがゆえに、勝ち負けよりも正しいルールを教えるという判断をする人が多くいます。
警告・退場よりも注意をすることがある
反則があった場合には、重大なものの場合、警告や退場を宣告することになります。
中学生や高校生ぐらいの大会になると、1試合を通して同じ尺度で見極めながら判定し、反則行為が重大な場合には、警告や退場を出します。
しかし、小学生の試合では警告や退場をいきなり出すのは珍しく、その前に注意を行うことが多いです。
注意をすることによって、今のプレイのどこが悪かったのか、そのプレイによってどんなことが起こるのかを教えます。
本来は指導者が教えるべきことですが、実際に試合のような場面にならないと分からないプレイは多くあります。
小学生の場合には、懲罰を与えるというよりもプレイの意味を教えることを中心に判定する人が多いです。
まとめ
いかがでしたでしょうか。小学校におけるハンドボールのルールで大事なことは、次の3つです。
小学生用のルールがあり
小学校のハンドボールにおいてはJクイックハンドボールという競技形式があり、一般的なプレイについては通常のハンドボールと同じですが、コートの長さが短く、試合時間も小学生用に短くされています。
特殊なスローオフ
Jクイックハンドボールでは、試合展開をスピーディーに行うため、得点後のスローオフをセンターラインから行うのではなく、ゴールを決められたチーム側のゴールエリアからスタートするようになっています。
怪我防止と学びを重点的に指導
小学校のハンドボールでは、審判も身体接触に関しては比較的厳しくジャッジをすることが多いです。これは、怪我の防止の観点からです。
また、警告や退場を出す前に注意をすることがあります。プレイの意味や、試合でしか学べないことをしっかりと教えようとする判定をすることもあります。