ハンドボールの基本攻撃フォーメーション
1-5の基本の形
ハンドボールのオフェンスフォーメーションで基本の形が、ポスト(PV)を6mライン内に入れて、その周囲を5人で展開する「1-5」(人によっては「3-3」という人もいる)フォーメーションです。
サイド・45・センターの5人でボール回しをして得点チャンスをうかがいます。
サイドシュート・45の切り込み、ポストプレイなどバランスが取れた攻撃フォーメーションで、オーソドックスな形と言えます。
ダブルポストのフォーメーション
もうひとつ良く使われるフォーメーションが「ダブルポスト」です。
ポスト(PV)の選手を2人にする方法で、センターを無しにして45とサイドでボール回しをします。
スクリーンプレイが使いやすくなり、切り込んでシュートを打つ形になります。
サイドが上がり気味にいるので、相手のディフェンスが中央に寄りやすくなります。ポストプレイを中心として点を取りたいチームにはおすすめのフォーメーションです。
ハンドボールの基本攻撃戦術
片寄をして45で勝負
ハンドボールの基本的な戦術が「片寄せからの45」です。
センターからアンカーとなる45選手にパスをします。そのまま少し前進し、センターにボールを折り返し、反対の45からサイドまでボールを回すとディフェンスがアンカーの選手と逆側に寄ります。
そしてサイドから45、センターとボールを回します。このときセンターの選手はやや45に近づいてボールをもらうのがポイントです。
こうすることで相手のセンターまで片側に寄ってしまい、アンカーとなる選手のサイドにはディフェンス側とオフェンス側が2対2という状況を作り出せます。(ただしポストが相手のポストをブロックし、センターはボールをさばいた後、相手センターをブロックすることが条件です。)
ディフェンスが片寄りしているので空間が広く、オフェンスが優位の状況でシュートに持ち込めます。
このボール回しは基本戦術をする上でとても大切で、ボール回しをする5人がボール回しの意図を理解して進める必要があります。
最も基礎的な練習で、このあとに出てくる紅葉戦術を実施するときには、5人によるボール回しができることを前提に戦術が組み立てられていくので、素早く正確にできるよう意識して練習しましょう。
サイドを使ったカットインプレイ
パス回しで相手ディフェンスを翻弄する攻撃方法の他に、サイドの選手の動きを利用して攻撃するフォーメーションがあります。
センターから45、そしてサイドの選手にボールが入ったら、サイドの選手は9mラインに沿うようにして45側に動きます。これによりポストとサイドの2対2の状況を作ります。
さらに、走った後のサイド後方にはスペースが生まれます。ここに45の選手が入り込むように準備します。
ディフェンスのサイド選手がオフェンスのサイド選手についてしまい、スペースが空いたときには後方に走りこむ45選手にパスをしてシュート、サイドが寄ってこない場合にはサイドがロングシュートか、前に出てきたディフェンスの裏を取りポスト(PV)選手にパスを出してシュートします。
この戦術のポイントはサイドの選手がボールを受けて走る位置で、あまりにディフェンスから離れているとディフェンスの選手が寄ってきません。できるだけディフェンスに近いところを走り、ディフェンスを引き付けることができるとよいです。
また、サイドの選手の特性も影響し、ロングシュートも打てるようなサイドだとディフェンスが遠目からのシュートを警戒して前に出てくるので、この戦術は有効になります。
ポスト(PV)を使ったスクリーンプレイ
3つ目の基本戦術にポストプレイがあります。攻撃時に相手ディフェンスの中に入っているポストを使ってディフェンスにスクリーンをかけて動きを止め、スペースを作り出します。
やり方は、センターからボールを45に出します。このとき、ポストの選手はボールと逆側に動きます。
45からサイドにボールが回り、そこから45、センター、逆の45とボールを戻します。
ディフェンスは一旦、片方に寄せられた後でボールが逆に動くので、ディフェンスも一緒になって動きます。そこですかさず、ポストの選手は最後にボールの渡った45選手をマークするディフェンスの45選手のサイド側に立って、スクリーンをかけます。
すると45選手はサイド側に動くのが遅れ、攻撃側の45とサイド、ディフェンスは相手のサイドのみという2対1の状況を作り出すことができます。
一瞬でもよいのでこの時間を作り出すことができれば、隙間が生まれボールを持った45選手がそのままシュートを打つか、サイドの選手が45のディフェンスに入るのであれば、オフェンスのサイド選手にボールを出してサイドシュートでゴールを狙います。
このように基本のボール回しをして、ディフェンスが偏りを見せたところに戻れないようポストがスクリーンをかけることで、得点チャンスを生み出すことができます。
広くディフェンスを振り回す攻撃が相手の脅威に
ハンドボールの攻撃における基本戦術は、いかにディフェンスラインを広げるかにあります。
ゴールから見て180°の角度が攻撃範囲ですが、戦術のしっかりしていないチームはそのうちの120°ぐらいしか使っておらず、ディフェンスは守りやすくなります。
戦術のしっかりしているチームはさまざまな方法で、攻撃を幅広く使うことができ、ディフェンスは守りにくくなります。
上で紹介した以外にも「ポジションチェンジ」や「カウンター(速攻)」などの攻撃方法があり、指導者の方針によって戦術が変わります。
大切な選手の特性
ハンドボールのチーム戦術を考えるときの基礎になるものが、選手の特性です。チームにどのような選手がいて、それぞれの個性を生かすことができる戦術を使わなければ意味がありません。
例えば、脚の速いサイド選手がいるのであれば速攻中心の攻撃になりますし、強力な45選手がいるのであれば、アンカーを45にしてボール回しをする戦術を組み立てることになります。
実際にチーム状況や選手の成長具合、試合展開によって使い分けできるように練習しましょう。
相乗効果をもたらせる組み合わせ
ハンドボールの戦術は、ひとつだけ覚えても意味がありません。ワンパターンの攻撃では相手に止められてしまいますし、攻撃が手詰まりになったとき、打開することができなくなります。
そこで複数の攻撃パターンを練習しますが、できれば相乗効果を生み出す組み合わせで練習しておくことが大切になります。
ひとつの例として、速攻をメインの攻撃パターンに据えてチーム作りをしていくとします。すると相手は速攻を警戒して、速く守ることができるように移動します。
こうなるとコートの中央部分が大きく空き、45、センターのボール回しに対するプレッシャーが弱くなる傾向が出ます。この状況はフォーメーションプレイをするのに絶好のチャンスとなります。
上の例のように、速い攻撃と遅い攻撃、サイド攻撃と中央の攻撃といったように反対の攻撃パターンを持っていると、相手は守りにくくなります。
攻撃の戦術を考えるときには、相乗効果を生み出すことができるものを用意しておくとより効果的です。
基本のディフェンス戦術
基本のディフェンス練習は「6-0ディフェンス」
ハンドボールはコートが狭く、ディフェンスがしっかりとしていれば即、攻撃につなげ得点を取ることができます。それだけチームでしっかりとしたディフェンス戦術を取ることが大切になります。
基本のフォーメーションは「6-0」です。6人がゴールエリアの前に一定間隔で並ぶフォーメーションで、オールラウンドなシステムです。このシステムを使いながらマンツーマンで守っていくのか、ゾーンで守っていくのかを練習します。
多いのはゾーン・ディフェンスで、自分のエリアをしっかりと守るようにします。ゾーンで守るときには、自分のマーク相手が決まっているものの、ポジションチェンジをした場合にはマークマンが変わります。
どんな攻撃パターンをされても大丈夫なように練習をする必要あります。
「6-0」のメリットは、広く守ることができるのでサイドまでしっかりとケアすることができます。一方で、ロングシュートへの対応が遅れるので、相手に強力な45が相手にいるときにはこのフォーメーションは不向きになります。
また、全員が6mラインに近いところにいるので速攻は行いにくくなります。
ゾーンとマンツーマンを融合するディフェンス
ディフェンス戦術の練習でもうひとつ行うとよいのが、ゾーンとマンツーマンの2つを組み合わせるディフェンスです。
6mライン付近でラインに並び、ゾーンで展開するグループとマンツーマンで相手選手につくディフェンスを組み合わせた戦術で、フォーメーションの形としては「5-1」や「4-2」「3-3」「3-2-1」などがあります。
ロングシュート対策ができ、キーポイントになる選手を活動させないようにする一方で、ゾーンを展開するメンバーが少なくなるので負担が大きく、サイドの選手対策が手薄になります。
前で守る選手が多いので攻撃に移りやすいメリットはあるものの、「6-0」よりも個人個人の能力が高くないと突破されやすくなります。
練習のポイントは連動した動き
ディフェンス戦術の練習ポイントとしては、個人の能力アップとチーム力のアップをしなければいけません。ハンドボールを始めたばかりの頃は、個人能力の差が出にくい「6-0」をやるのがおすすめです。
練習するときのポイントは6人が連動して動くことで、オフェンスのボールの動きに合わせてスライドすることができるようにします。スライドが1人でも遅れてしまうとその部分を抜かれてしまいます。
ゾーンで守るためには、自分のマークマンが次々に変わっていくので、それに対応する練習も必要になります。
ある程度ゾーンの守りができるようになったところで、マンツーマンも組み合わせたディフェンス練習もしていくと相手チームに合わせてディフェンス隊形を変えることができます。
ディフェンスの戦術をしっかりとすれば点を取られにくくなり、攻撃のチャンスも増やすことができます。組織的に守ることを意識した練習が大切なポイントです。
チーム練習の参考動画
セットオフェンスからの基本的な動き
ずらしからの基本的な攻撃
ポジションチェンジからの攻撃
ディフェンスの動き方